課題

AI を業務に取り入れたいという意向はあるものの、何から着手すべきか判断がつかない状態が続いていました。士業事務所は顧問先の決算情報や個人情報といった機密性の高いデータを日常的に扱うため、「どのサービスに、どこまでの情報を入力してよいのか」という線引きがないままでは、判断を職員一人ひとりに委ねるわけにいきません。結果として、関心のある一部の職員が個人的に試すにとどまり、事務所としての活用には踏み出せていませんでした。AI 活用の最初の壁は、ツールの性能でも業務効率化のアイデアでもなく、事務所として「使ってよい状態」をつくることにありました。

取り組み

  • 想定される用途と、そこで扱うデータの機密度を業務単位で洗い出し
  • Gemini Enterprise Agent Platform(旧 Vertex AI)、Amazon Bedrock、Claude の Team プランを比較検討
  • 入力データが学習に使われるか、どこに保管されるか、管理者が利用状況を把握できるかを判断軸に、用途に合った構成を選定
  • 事務所内の AI 利用ガイドラインを策定し、入力してよい情報とそうでない情報を明文化
  • 全職員が日常業務の中で使える環境を整備し、使い方を相談できる体制を用意
  • 将来的な業務改善を見据え、既存資料の持ち方と業務フローの棚卸しに着手

成果

一部の職員が個人的に試している段階から、事務所全体で AI を使ってよい状態へと移行しました。判断基準が文書として共有されたことで、新しい使い方を試す際にも都度立ち止まる必要がなくなっています。現在は、棚卸しした業務フローをもとに、実務領域への適用を順次検討している段階です。

今後

弊社の士業特化型 FDE は、ツールを導入して終わりではなく、事務所の現場に入り込んで AI 活用を実務レベルに根づかせることを役割としています。本件でも引き続き現場に入り、整備したデータとワークフローを土台に、日々の業務そのものの作り替えをご一緒していきます。